最新号 September 2020

波光

2020.9月号 真摯さが足りないのか

 ジョーク(冗談)好きな人間は多い。よほど頭の回転が速く、柔らかくできているのだろう。それに倣ったわけではないとは思うが、この国の政府も負けてはいないようだ。コロナ禍中、指令は後手プラス朝令暮改の連発。国民は唖(あ)然とするばかりだ。
 『浮雲』の作家で、ツルゲーネフの『あひゞき』などを翻訳した二葉亭四迷。訳あって、「くたばって仕舞(しま)え」と、自身を罵(ののし)ったことから付けた筆名だったことは広く知られている。ついでながら夏目漱石も屁理屈(へりくつ)を基とした四字熟語の「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」からのペンネーム。
 こうした“味”があるジョーク、シャレ(洒落)には思わず快哉(かいさい)。楽しくもなってしまうが、半面、それらがミエミエになると歯牙にもかからなくなるし、見下される。今は社会全体そんな浮薄な言動ばかりが浮き立つ。
 真っ最中のコロナ禍。収束の目途は立たず、対応策は政府、地方自治体、医療関係者バラバラの百家争鳴。二転、三転のマスク配布には腹を抱えてしまったが、責任の所在などはもちろん、カスミの彼方(かなた)か。マンガ的な国の国民にはなりたくない。
 ジョークには際どさもある。時と場所などが大切なのは言うまでもないが、境目がわからなくなるケースも意外と多く、トラブルになることもある。困ったことに、今の国内はそんな状態が続いている。やはり、真摯(しんし)さが足りないのだ。 (編集長)

次号予告

10月号は2020年9月下旬発行
★連載:私の博物誌/七浜海道を行く/うまい話し新聞別刊★エッセー:ある日、突然…「心のケア」/ひと息ついたら ほか