最新号 August 2019

波光

2019.8月号 クジラ問題、広く、深く…

 笑われそうだが、幼かったころ、豚肉とヨーグルトがとにかく食べたかった。食事時、膳の上の肉は常にクジラ。それでも満足し、夢中になってパクついたものだったが、今この「クジラ問題」で世界がもめている。食文化の差異、割り切るのは殊の外、難しいようだ。
 小さな漁村に生まれ、育った。そのおかげで通年、海からの恵みに困ったことはない。カレーライスには、牛、豚肉に代わってアワビやエビ、貝が入り、今でいうシーフードだ。ウニの貝焼きなども“地産地消”で大盛り。
 だが、子どもにとって欲しいのは、肉。鶏肉がないこともなかったが、必然、目も腹も要求しているのは、豚肉。にもかかわらず、“肉はクジラ”の時代が続いた。煮て食べ、焼いて食べ。弁当のおかずの常連でもあった。
 そんなクジラ、今年7月から日本は商業捕鯨の再開に踏み切った。需要も懸念される中、関係者は歓迎だが、案の定、一部から反対の狼煙(のろし)も上がった。「牛、豚は家畜(だから食べ)、クジラは野生(だからダメ)」。こんな都合のいい話もあるらしい。議論の余地は広く、深い。
 海の生物資源は天からの恵み。古来、どの国も生活の糧として利用してきた。クジラの場合、保護も必要と思うが、万が一、異常発生して大暴れ、津波でも引き起こされたら大変だ。個人的にだが、津波では8年前にすべてを失っているのだ。  (編集長)

次号予告

9月号は2019年8月下旬発行
★連載:いわき再発見シリーズ13「歩み続けて老舗」/私の博物誌★エッセー:母のホンネ/ゲンバ女子/“聴き酒”の夜… ほか