最新号 December 2019

波光

2019.12月号 正月はスマホ放し読書を

 元号が変わったせいではないだろうが、今年1年、社会は落ち着きがなかった。残念ながら、「劣化」「閉塞(へいそく)」など、あまり上等ではない言葉もかしこで聞かれた。識者に言わせると、これらを防止する最大の“特効薬”は読書、という。新年、良書で心身の再起動をぜひ。 
 イヤな事件や事故が頻発した年だった。子どもやお年寄り、あるいは弱者と呼ばれる人たちが犠牲となったそれらがあまりにも目立った。すぐにキレやすくなり、一時の感情の赴くまま、大小の犯罪を繰り返し起こしては社会を仰天させたケースもあった。  
 これらの事件の要因の一つとして、読書量の少なさを挙げる人は多い。確かに、読書は人の「知」に対する栄養分が豊富だ。歴史、人物伝、自然、芸術…。人生の途上、大いに参考となり、人間形成にはとっておきな「宝物」であることは記すまでもない。
 経済重視で走ってきたツケが今、人々の感情の隅々まで浸透、悪影響を与えているのだろう。高みに棲(す)むメンメンの失言、大臣の相次ぐ辞任などのお粗末さはまさにその典型だ。もちろん、このクラスにも読書を進めたい。例えば、諭吉翁の『学問のスゝメ』などを。  
 『国家の品格』の著者で数学者の藤原正彦氏。「劣化の原因は、本(良書)を読まなくなったため」と、断言する。正月は、みんなの“頑具”となったスマホを手放し、良書をどうぞ。 (編集長)

次号予告

1月号は2019年12月下旬発行
★連載:私の博物誌/七浜海道を行く★エッセー:わたしのシアターへようこそ/ひと息ついたら ほか