最新号発売 august 2017

波光

2017.8月号 “目出度さも中くらい…”

 早いものだ。あの大震災以来、7度目の夏を迎えた。借り上げ住宅での暮らしも同じ月日を刻んだが、ようやく今秋には「自宅復帰」の目途が付いた。しかし、元の集落はない。懐かしい顔もない。新築の槌音はやけに寂しい。
 
 自宅はすぐ前が太平洋。白砂の浜まで歩いて1分もかからない。毎朝2階のベランダから眺める海は得難い光景だった。だが、3.11のあの日、何度となく堤防を越えた大津波は、有無を言わさず、集落一帯を無残なガレキの地としてしまった。
 沿岸部の被災者たちは散り散りになった。時間的、経済的理由などで、生まれ住んだ地から泣く泣く去った人も少なくない。「俺らの人生、終わったよ」。災害復興住宅で慣れない生活を続ける老夫婦の嘆きが耳から離れない。今回の震災は、かしこに大きな罪を残した。
 その沿岸部は今日も復旧・復興の工事車両が忙しない。が、6年半の時を刻んだ割には整備途上の地域はまだ大半。取材で回っていると、「一体、いつになれば…。五輪に向き過ぎではないか」と言った皮肉さえ頻繁だ。
 
 半年以上も区画整理事業が遅れ、昨夏、何とか元の場所に土地を確保。即、自宅の建築プランに入ったが、諸手続きがまるで面倒。やっとこの7月から工事に着手。だが、周囲は空き地だらけ。近所のおばちゃんたちの賑やかな声もない。「目出度さも中くらい…」なのである。(編集長)

次号予告

9月号は2017年8月下旬発行
★連載:街の角で/いわき再発見シリーズ12「―群像―いわきの誉れ」/私の博物誌★エッセー:琥珀色の風景/続 暖ろん風はつ/助産師さん フルパワー ほか





連載

街の角で
うまい話にゃウラがある
私の博物誌

エッセー

琥珀色の風景
お風呂が一番!