2020年12月号

働き方改革だってサ

 「休みなさい。働きすぎは罪です」。当局の「働き方改革」に伴うお達しが、執拗(しつよう)だ。これら一連の“指令”で、労働環境に変化が出てきたのは事実だが、なじめない事業所もまだまだ多い。「うちは役所じゃないので早々には」と、苦る経営者も少なくないようだが…。
 「働けど働けど、わが暮らし…」と嘆き、じっと手を見たのは石川啄木であり、『蟹工船』で労働者たちの悲惨な日々を描いたのは、小林多喜二。いずれもだいぶ昔の話であり、彼らが生活した時代、現代では信じられない状況だったようだ。
 確かに戦後は皆、昼夜を問わず働き、経済は上昇。そしてバブル期、テレビからは「24時間戦えますか」と、サラリーマンたちの猛烈な仕事ぶりを鼓舞するドリンクの“応援CM”が連日流れ、煽(あお)った。
 だが、時代は急変。過労死やサービス残業などなどを問題視した国は、罰則規定を設けて労働環境における改革の大号令。が、一部には労使逆転と思える推進事項も。その結果、現今は経営者たちの呻吟(しんぎん)さがクローズアップ。働き方はとかく難しい
 コロナ禍の今年も間もなく終わる。この突発的な災禍によって、困窮極まった大小の事業所も数知れず。今号の特集でも報じているが、明けての新年は労使、絆を一層固くして、エトの丑(うし)と同様、忍耐の年になることだけは間違いなさそうだ。(編集長)